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NISA を始めたフリーランスが注意すべき10のこと【FP解説】

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投資を始めて数年。資産が順調に増えていく喜びを得た一方で、ふいに訪れる下げ相場に「もし、いま大暴落が来たら」「このまま続けていて本当に大丈夫?」と、不安を覚えるフリーランスは少なくありません。

会社員と違い、月々の収入に波があるフリーランスにとって、投資は「老後の安心」であると同時に、一歩間違えれば「本業のパフォーマンスを奪うノイズ」にもなり得ます。フリーランスの投資における最大の成功とは、莫大なリターンを得ることではなく、本業の稼ぐ力を維持しながら、市場から退場せずに生き残り続けること

そこで今回は、インデックス投資を中心とする資産運用に慣れてきた中級者が陥りやすい10の注意点を徹底解説。数多くのフリーランスの家計を診断してきたFP(ファイナンシャル・プランナー)の視点で、不安定な立場だからこそ必要な、賢いリスク管理と運用術を紐解きます。

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1. 「生活防衛費」が貯まる前に、投資を優先しすぎない

ある程度、投資に慣れてくると、現金を銀行に眠らせておくのが「もったいない(機会損失)」と感じ、1円でも多く投資に回したくなるもの。しかしフリーランスにとって生活防衛費のない投資は、予備の機材を持たず、バックアップを取らず、仕事を進めることに等しい行為。トラブルが起きた瞬間にすべてが詰んでしまう、非常に危うい状態です。

会社員なら失業しても手当がありますが、フリーランスにセーフティネットはなく、景気が悪化すると、株価の暴落だけでなく、発注が止まったり、継続していた案件が終了したりといった事態がセットでやってくることもあります。そうしたリスクに備えて、まずは生活費の「半年〜1年分」を、投資とは完全に切り離した現金として確保するのがおすすめ。このバッファがない状態で投資額を増やしすぎると、不況時に「生活費を捻出するために、底値で暴落した株を売る」という、投資において最も避けなければならない事態を招くことになります。

2. 「隣の芝」が青く見えても、投資スタイルを浮気しない

インデックス投資を数年続け、順調に含み益が出始めると、必ずといっていいほど「もっと効率よく増やせるのでは?」という誘惑にかられます。短期トレード、流行のテーマ株、暗号資産、高配当株…。

しかし、個別株の分析やチェックには膨大な時間と精神エネルギーを要します。フリーランスにとって、最大の資本は、自分の時間であり稼ぐスキルです。投資に真剣になりすぎて、本業の納期が遅れたり、クオリティが下がったりしては本末転倒。資産運用は信頼できるインデックスファンドに「外注」する感覚でお任せし、浮いた時間は迷わず自己投資やスキルアップ、あるいは休息に充てるのが正解です。

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3. iDeCo の「60歳まで解約不可」という縛りを軽視しない

「節税になるから」と深く考えずに  iDeCo を検討するフリーランスは多いですが、ここには少し注意が必要。iDeCo は原則として60歳まで引き出すことができません。急な体調不良や突然の売上激減だけでなく、新しい事業への投資や仕事環境のアップグレードなど、ビジネスを加速させるためにまとまったキャッシュが必要になる場面が訪れるのがフリーランス。そんなとき、目の前に十分な資産があるはずなのに、ルール上1円も動かせず、チャンスを逃してしまう。それが iDeCo の縛りの怖さです。

まずは、ビジネスの状況に合わせて柔軟に出し入れができる NISA の枠を使い切ることを優先しましょう。iDeCo は、あくまで「長期的に事業の外側に置いておく、手付かずの資金」が確保できてから検討しても遅くありません。

4. 「定額積立」という呪縛を捨てる

「毎月一律◯万円」という積み立ては、会社員のように安定した月給がある人に向いている戦略です。収入に波があるフリーランスがこのルールに縛られすぎると、売上が落ちた月に家計を圧迫し、精神的なストレスにも。

今のネット証券なら、積立額の変更はスマートフォンの操作1つで完結します。

  • 案件が重なった繁忙期は、積み立てを増やす
  • 仕事を抑えた月や閑散期は、最低限の金額に絞る

このように、売上の波に合わせて、しなやかに入金力を調整するのが、フリーランスが長く投資を続けるコツです。

5. 現金比率を下げすぎてメンタルを削らない

一般的に「現金3:投資7」といった比率は効率がよいとされますが、これはあくまで理論上の話。実際に資産が半分になるような暴落が来たとき、多くの人がパニックになり、正常な判断ができなくなるもの。

特にフリーランスは、本業が不安定になった際に投資まで大赤字だと、精神的なダメージが倍増します。だからこそ投資歴数年の場合は「現金50%」という厚いキャッシュポジションを維持するのがおすすめ。

これは単なる現金の温存ではなく、暴落時でもパニックにならず、本業のクオリティを維持するためのメンタルへの投資だと考えるとよいと思います。

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6. 下げ相場は「損」ではなく「バーゲンセール」と捉える

下げ相場が続くと、画面上の評価額が毎日減っていき、積み立てを続けるのが苦しくなります。しかし、ここが一番の踏ん張りどころ!

インデックス投資において、暴落は資産が減る恐怖のイベントではなく、同じ金額でより多くの口数を買える、セール時期のようなもの。ここで積み立てを止めてしまうのが最も「損」な選択であり、将来の相場回復局面で得られるはずの大きな利益をすべて逃してしまいます。

今は、将来のために安く仕込んでいる種まきの時期と割り切り、よい意味で相場に鈍感になることが、最終的に資産をしっかりと形にするためには不可欠なスタンスです。

7. SNS の爆益報告に惑わされない

SNS を開けば、「数か月で資産倍増!」「この銘柄で数千万円儲かった」といった華やかな報告が溢れています。しかし、それらは往々にして、高いリスクを取った結果のラッキーか、プロモーションの一部で偏った情報です。

フリーランスの投資の目的は、一攫千金ではなく「事業を続けながら、着実に将来の不安を消していくこと」。他人と競う必要はありません。隣の芝生の青さに惑わされず、自分自身のライフプランと、本業の集中力を乱さないリスク許容度を守り、自分のペースを貫いてください。

8. 隠れたコストを放置しない

インデックス投資の世界では、コスト(信託報酬)は唯一のマイナスリターン。運用を始めたのが数年前であれば、当時選んだファンドが、今の最新ファンドよりも少し高いまま放置されている可能性も。

たとえば、信託報酬が0.2%のファンドと、最新の0.1%を切るファンド。その差はわずかに見えます。しかし、何十年という長期で運用し、資産が数千万、数億円規模になったとき、その差だけで数十万〜数百万円単位の利益が消失します。

自分が今持っている銘柄が、現在の業界最安水準のファンドと比べて乖離がないか、定期的にメンテナンスを行ってください。

9. 投資利益をあてにして生活水準を上げない

株価が上昇し、ある程度の含み益が出ると、自分がお金持ちになったような錯覚に陥ります。しかし!含み益はあくまで「仮の数字」であり、数日後には消えてなくなるかもしれない不安定なもの。

利益が出ているからといって家賃の高い物件に引っ越したり、贅沢品を買ったりして生活レベルを上げてしまうと、暴落が来たときに家計が破綻することも。生活水準はあくまで、投資の損益に左右されない「本業による事業収益」の範囲内でコントロールするのが、フリーランスの家計管理における鉄則です。

10. 全額オルカンでも S&P500 でも、放置しすぎない

インデックス投資は基本的に「ほったらかし」が推奨されますが、それは「何もしなくていい」という意味ではありません。資産が増え、株価が高騰すると、当初想定していた「現金と投資の比率」が崩れていきます。たとえば、最初は「現金5:投資5」だったはずが、株価上昇により「現金2:投資8」になっているかもしれません。この状態で暴落が来ると、想定以上のダメージを受けることも。

年に一度は資産全体を棚卸しし、自分の「本業のパフォーマンスを最大化できる比率」に引き戻す。増えすぎた部分を売って現金に戻すなど、リバランスを行うのがおすすめ。この小さなメンテナンスが、長期投資を完走するための最後の鍵となります。

投資はあくまで手段。自由なキャリアを支えるための生存戦略を

フリーランスにとって、積み立て投資を軸としたインデックス投資は、人生の選択肢を広げるための強力なツールです。しかし、そのツールを磨くことに必死になりすぎて、肝心の本業や自分自身の生活を犠牲にしては本末転倒。投資に振り回されず、「稼ぐ力」を死守しながら、賢く資産を育てていく。 そのために、今回挙げた10の注意点を、あなたの投資スタイルの、コンディションチェックとしてぜひ活用してみてください。

正しい「守り」の規律があって初めて、投資は真の強みになるもの。資産運用という確かな生存戦略を味方につけ、より自由に、自分らしくビジネスを切り拓いていけるよう応援しています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資判断を推奨するものではありません。内容は参考情報としてご活用いただき、投資に関する最終的な判断はご自身の状況に応じてご判断ください。なお、本記事の内容に基づいて生じた損失等について、当社は責任を負いかねます。

Writer / Noriko Taki(ファイナンシャル・プランナー)

Sollective:https://www.sollective.jp/freelancer/TAKINORI

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