「つながり」を仕事のチャンスに-地方に住む採用・広報フリーランスの関係構築術 Article Image

「つながり」を仕事のチャンスに-地方に住む採用・広報フリーランスの関係構築術

Share:
01

自然体で接し、相手に喜ばれる行動をし、人との縁をいつまでも大切にする。コミュニケーションにおいて大切な考え方ですが、実践するのは仕事でもプライベートでも簡単ではありません。

それを自然に行い、人とのつながりから常に案件を獲得し続けているのが、採用・広報領域で活躍する Sollective 認定プロ守屋亜理紗さんです。自らを「リレーションシップ・デザイナー」と称する守屋さんは、現在宮崎に住みながら、東京のスタートアップ数社の採用活動を支援しています。

過去には販売や営業の仕事もしていた守屋さん。異分野での経験が採用・広報職にどう生きたのか、人脈から案件への具体的なつなげ方、単価アップのコツなどを聞きました。

守屋さんの写真入りプロフィール。顔写真の上に、守屋亜理紗 リレーションシップ・デザイナーの文字。左側にプロフィール文:アパレル販売員を2年、大手 EC 企業のコンサルティング営業を2年程度、地方スタートアップの採用・広報を約10年経験したのち独立。現在はフリーランスとして、スタートアップの採用や採用広報をサポートする。

「相手の欲しがる情報を考える」ことは広報も営業も同じ

――独立前のキャリアについて教えてください。

就職活動用のスーツを買った婦人服ブランド「Theory」の接客に感動し、どうしてもそのお店で働きたくなって販売員になったのが最初のキャリアです。その後、楽天株式会社(以下、楽天)に転職して、ファッションジャンルの EC 営業職に就きました。楽天では約200店舗を同時に担当していたのですが、だんだん「1社と深く関わりたい」と思うようになりまして。ちょうどその頃に宮崎発のスタートアップ、株式会社アラタナ(以下、アラタナ)の創業者と知り合う機会があり、「この会社なら自分の希望が叶うのでは」と可能性を感じて転職。開設したての小さな東京支社で1人、EC サイトの運営代行に携わりました。

その後、社内結婚を機に宮崎へ移住。産休・育休を経て復帰するタイミングで EC 運営部門の閉鎖が決まり、代わりに広報職を打診してもらえたので、未経験で挑戦することになりました。広報に注力したい理由を掘り下げると「採用につなげたいから」だとわかったので、自然と採用担当も兼任しました。

――未経験の状態から、どうやって広報や採用業務を進めていきましたか?

同僚や広報としてのキャリアが長い楽天時代の同期にサポートしてもらいながら、ほぼ手探りで進めていきました。未経験でしたが、営業と広報には「必要な情報を必要な人に届ける」という共通点があったため、そこまで難しさは感じませんでしたね。広報の「お作法」も知りませんでしたが、「相手が欲しがる情報は何か」「どうすれば喜んでもらえるか」と基本に沿って行動すると、結果がついていきました。季節に合わせて一筆箋を用意して、送付物に必ず付けるなど、販売員としての経験も生かしました。

💡関連記事:すべての仕事は営業活動-事業開発フリーランスの案件との向き合い方

既存のつながりを大事にする行動の積み重ねが、新規案件への近道

――独立を決めた具体的なきっかけを教えてください。

夫の転勤に伴って一時は東京の会社で働いていたのですが、コロナ禍を機に宮崎へ戻ることにしました。ただ地元企業で東京と同水準の収入を得るのは難しいため、フリーランスへの転身を決意。その頃、楽天の元同僚が起業して採用を強化していることを SNS で知り、10年ぶりに連絡したところ、すぐに最初の案件につながりました。さらに数か月後には、アラタナ時代のつながりから案件がスタートすることに。独立時は深く計画していませんでしたが、結果的に「ご縁」に恵まれて次々と案件を獲得できました。

――企業から信頼され、継続的に案件を獲得するために心がけたことはありますか?

宮崎は東京から遠く、やり取りも文字メッセージが中心なので、人とのコミュニケーションには意識的に力を入れていました。できる限り多くのオンラインコミュニティに参加する、わざと多めに発言する、業務外の雑談にも加わる、オンライン部活動に顔を出して素の自分をさらけ出すなど。また、会社の記念日や代表の誕生日にお花を贈ったりもしていました。直接仕事で関わらない人にも自分を知ってもらうことで、その人が転職や起業をした際に思い出して連絡をくれることがあります。私の案件はほぼ100%、こうした人とのつながりから生まれています。

また独立当初は、宮崎の地場の企業からも案件を得るために挨拶回りをしていたのですが、個人の名刺を見て信用面で不安に思われることを避けたかったので株式会社を設立しました。「代表取締役」の肩書のおかげで、安心して話を聞いていただけた気がします。

――自己アピールや営業活動は行っていましたか?

私は戦略的に、新規よりも既存顧客からの紹介を重視しているため、SNS などのオープンな場では一切営業しません。代わりに取引先の社内のブログや日報、チャットなどで知見や小話を積極的に発信していました。SNS で広く浅くアピールするよりも、取引先で存在価値を高めたほうが次の紹介につながりやすく実践的だと考えています。

採用の仕組み作りなど、上流の仕事に絞って高単価を実現

――現在はどのような企業と仕事をしていますか?

東京の IT 系スタートアップ3〜4社の採用を支援しています。スタートアップにこだわってはいませんが、課題が山積みで、予算も少なく、誰が何から手をつけるかもわからない「カオス状態」にいる企業のほうが私の経験と力を発揮できると自負しています。

基本は宮崎からリモートで働いてますが、評価会議の参加やオンボーディングなど対面業務もあるので、月に1回程度は東京に出張しています。

――「ふわっと渡された課題に対して、組織として機能する状態まで持っていく」ことが特技だと聞きました。詳しく教えてください。

私の仕事はいつも、採用に関する漠然とした要望を渡されるところからスタートします。多忙な担当者と対話しながら、課題を見つけて優先順位を決め、ひとつずつ解決し、企業が自走できる組織体制を作るところまでが任務です。

たとえば以前、ある企業から「とにかく数を採用したい」という要望を受けたことがありました。しかし話を聞いてみると、数十人規模の大きな採用目標があるにもかかわらず、軸となるミッション・ビジョン・バリュー(MVV)がなかったんです。そこで「しっかりした MVV がなければ、採用してもどんどん辞めていく」と助言し、まずはその策定に着手しました。その後改めて採用計画を見直し、応募者が増えたところで採用プロセスを一元管理して効率化するための採用管理システム(ATS)を導入。組織で採用活動ができる状態にしました。

また別の案件では、まずは採用活動がひととおり回る状態まで運用を整理し、その後なかの人に採用業務をバトンタッチしてノウハウを伝授。最終的には社内のメンバーでしっかり採用活動ができる状態になるまで伴走しました。

――なぜ会社は正社員ではなく、フリーランスに仕事を依頼するのだと思いますか?

単純に人材が見つからないからでしょう。特に人事や採用職は、企業が求める人材と、求職者が求める働き方や条件にズレが大きいことが多いと感じるので、なお見つけづらい。その溝を埋める力強い存在としてフリーランスが頼りにされます。また、正社員は定着するまで時間がかかるのに対して、フリーランスは初日から即戦力として動けることも理由かと思います。私の場合、簡単な説明を受けたらあとは勝手に動くので、限られた時間で成果を出していく必要があるスタートアップの CxO 陣から「負担が減る」と喜ばれています。

――単価の設定方法や単価アップのコツなどを教えてください。

当初は前職年収を基準にしていましたが、現在は月の稼働予測をもとに月額で設定しています。単純作業や自動化できる業務は請け負わず、それらを社内で回せるような仕組み作りや戦略設計、責任者の壁打ち相手など、より上流の仕事へ徐々にシフトすることで単価を上げています。

――フリーランスとして働くなかで難しいと感じることはありますか?

フリーランスは完全に業務から離れることが難しく、同僚に頼ることも有休を使うこともできない点でしょうか。特に、子どもの体調不良で病院に行ったり、予期せぬ事態で学校から呼び出されたりなど、仕事を急きょ抜けなければならないときは苦労しています。その場合は夜間に作業して帳尻を合わせていますね。取引先には迷惑をかけないよう、事前にわかる予定は早めに共有していますが、普段からの人間関係の構築を通じて、急な休みが許容される状況を作っておくようにもしています。

イベントでの集合写真。真ん中の人物がRecustomer、左端の人物はCORAL CAPITALのロゴサインを持っている。皆笑顔でピースサインやガッツポーズなどのポーズをとっている

東京の取引先企業が出展したイベントにて。

失敗しても何とかなる。まずは思い切って挑戦を

――これから挑戦したいことはありますか?

宮崎の20〜30代のフリーランス志望者に採用や広報のノウハウを提供して、自立して働ける人を増やしていきたいです。この取り組みは個人だけでなく、企業にとってもメリットがあると考えています。今は特に地方で労働人口が減少しており、企業は人材確保に苦労しています。フリーランスが増えれば、そういった企業の負担も軽減されるのではないでしょうか。

あとは最近、宮崎県内の老舗そば店を事業承継で取得したんです。今後は採用業務ばかりでなく、時間を作って店舗運営に関わっていきたいですね。

――正社員からのフリーランスへの転身を考えている人へメッセージをお願いします。

興味があるなら、まずはやってみることをおすすめします。正社員であれば、副業から始めればリスクも抑えられます。フリーランスへの転身は取り返しのつかない決断ではありません。「失敗しても、元気でいれば何とかなる」くらいの気持ちで挑戦してほしいです。

――本日はありがとうございました!

💡関連記事:Sollective 認定プロとは?審査担当者が明かす、企業で活躍するフリーランスの条件

ソレクティブは「フリーランスの価値を証明する」をミッションに、プロフェッショナルフリーランスに特化した完全審査制プラットフォーム「Sollective」や SaaS 型サービスを提供するスタートアップです。フリーランスの皆さんがそれぞれ理想とするキャリアの実現をサポートするだけでなく、企業向けには各職種の専門家による審査を通過した「認定プロ人材」の紹介を通して事業課題の解決を支援しています。詳しくは下記のリンクから🔗

01